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Tokyo135゚ と きもの と きらきら を すこしずつ。


by happy_kimono_life
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博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§

展示販売会でよく目にする未仕立ての博多帯の反物。
それらには絶対に、このような『証紙』と呼ばれるものがついています。
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_234055.jpg


博多帯の証紙は現在4種類。
それぞれの違いをお勉強。

まず【金】
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_234055.jpg

こちらは経糸・緯糸ともに本絹使用の商品。

次に【緑】
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_285724.jpg

緑色は経糸が本絹、緯糸が本絹以外の絹糸使用の商品。

で、【紫】
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_2101277.jpg

経糸・緯糸共に本絹以外の絹糸使用の商品。

最後に【青】 
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_2111956.jpg

天然繊維、化・合繊など絹以外の繊維で作られた商品です。


以上4種類の証紙。

『ん??本絹ってなんだ??』
と思われた方。本絹とは、正絹、もしくは純絹と同じもの。
『じゃあ本絹以外の絹糸ってなんだ??』
・・・なんでしょう??

調べたところ『本絹』とは、繭からとれたなが〜い繊維を
何本か合わせてできた絹糸のこと。
繭からとれる生糸はなんと1km以上!!
コレをつかってできたのが、いわゆる本絹だそうです。

で、『本絹以外の絹糸』というのは
繭から糸を取るときなどに切れてしまった糸やくず繭
(糸の固さ、太さが均一ではなく、生糸にならなかった絹糸や、
繭からなが〜い繊維を取ったあとに残ったわたなど)を
紡績などで糸にしたもののこと。

同じ絹糸でも、証紙はこんなに細かく分類されているんですね。

次回の展示販売会でコソコソとチェックしてみます!!!


また、もうひとつついているのが
博多帯のこと その2 から 伝統工芸品のこと§_b0157726_2282257.gif
この、『伝統証紙』。

前回書いたように博多織りは伝統工芸品に指定されており、
その証としてこちらが必ず、ついているのです。
伝統証紙は伝統的工芸品の表示のために
(財)伝統的工芸品産業振興協会が発行する伝統マークを使用した証紙で、
厳しい検査に合格した伝統工芸品にのみ貼られるもの。
『伝統を誇る手づくりの証し』とされています。

『伝統工芸品』という言葉もよく聞きますが、
なんのことかしっかりご理解されていますでしょうか??

もしあいまいな方がいらっしゃったら、
一緒におべんきょしてみましょう*

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「伝統的工芸品」とは下記の全ての要件を満たし、
経済産業大臣の指定を受けた工芸品です。

1.日常生活で使用される工芸品
日本人の暮らしに密着し、一般家庭で使用される工芸品です。
美意識の表現を主とする芸術作 品とは異なるものです。

2.製造工程の主な部分は手づくり
製品の持ち味に大きな影響を与える、形状・意匠・文様・風合いなどの加工が
手仕事により行われます。

3.伝統的な技術・技法によって製造
主な技術・技法が100年以上前から今日まで継続して用いられています。
産業技術の近代化以前に確立され、
手仕事として合理性を極限にまで高めた、貴重なノウハウにより製造されます。

4.伝統的に使用されてきた原材料
主な原材料が100年以上前から今日まで継続して用いられます。
合成素材によらず、地球にやさしい天然素材が用いられ、
リメイク・リユース・リサイクルも容易です。

5.一定の地域で産地を形成
産業として成立し一定の産地で製造される工芸品です。
全国各地の歴史や風土など地域の個性を特徴づける、
ふるさとの特産品としてとして親しまれています。

以上に加え、伝統的工芸品の産地では
優れた完成度を備えているかなども含めた検査を行い、
合格した製品のみに「伝統マーク」を使った証紙が一品ごとに貼られます。
この意味で「伝統証紙」は本物の証です。

(以上、おなじく伝統工芸品である京友禅、京小紋を守る京都友禅協同組合のHPより)
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博多織りのお話に少し戻りますが、
博多献上の柄は一目見ればおわかりになるように
単純でいて、とても精密につくられています。

単純な仕組みのため、手で織るにはとても大変なもので、
機械で織った方が綺麗に、短時間で安価にできるそうです。
さらには手織りでつくったとしてもその良さをわかる人が少なくなってしまい、
正確さ、緻密さばかりが要求され、手織り独特のわずかなズレは
いわゆる難モノ、B品として扱われてしまうので
商売として成り立たせることは本当に困難です。

それでも、こうして伝統工芸品として、
古くから受け継がれる方法で今もつくっている方がいらっしゃる。

それって、本当にすごいことだと、
ただただ、思いました。

古くから続く『いいもの』が、
利便性や価格重視の大量生産大量消費の世の中でどんどん減ってきていて、
それを伝えられる人も、その価値を見極められる人もどんどん減ってきていて。

『いいもの』が『便利なもの』ではない場合もありますし、
むしろ今の世の中、『いいもの』は『都合のいいもの』になりがちです。

ですが、古くから伝わるものには、伝わる理由があって、
大切に守られてきた理由があって、想いがあるのだと思います。

きものを着る、ということは少なからず
『古くから伝わるものを大切にしたい』という気持ちと
どこかでつながる部分がありますし、
ファッションの一としてきものライフを楽しんでいらっしゃる方にも
時々でかまいません、ふと、少し立ち止まって考えてみて頂きたいです。

『都合のいいもの』『見栄えのいいもの』だけが、
本当に『いいもの』なのでしょうか??

産地やブランドに捕われることなく、
『モノ』そのものの価値というものを
きちんと目で見て心で感じられる人間になりたいなぁ、と思うのです。
by happy_kimono_life | 2008-09-20 11:54 | ○●お勉強●○